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休職者対応でおさえておきたいポイント

社員から「休職したい」という旨の申し出があった際、企業の人事担当者はどう対応すべきでしょうか。

休職者の対応は、働く人の人生にも関わってくる重要な事項ですので、場当たり的な対応ではなく、適切に行うことが欠かせません。

本記事では、企業の人事担当者を対象に押さえておきたいポイントを解説します。

企業における休職制度の義務

はじめに、休職制度を整備する義務についてです。休職制度の整備は、労働基準法等の法律で定められたものではないため、企業における設置義務はありません。よって、中には休職制度を整備していない企業もあります。

しかし、昨今では、働く人の健康推進や健康経営の潮流があり、そして企業にも社会的責任があるため、休職制度の整備は避けては通れないものともいわれています。

また、休職期間の長さや休職中の給与、復職の条件も企業によって異なることが考えられます。

厚生労働省「労働安全衛生調査(令和3年)」によれば、メンタルヘルス対策に取り組んでいる企業はは全体の59.2%と、約6割の企業が何等かの施策を行っています。

自社で初めて休職希望者が出た場合は、休職制度の有無から確認しましょう。

休職者対応は制度が基本になりますので、整備されていない場合はまずその制度作りを行います。また、休職制度が現状に即していない場合は見直しを視野に入れて確認することが、休職者対応の第一歩です。

休職希望者への適切な対応

休職とは、企業が「就労に適切でない」と判断した社員に対し、雇用関係等を維持しながら労働の義務を一時的に免除または禁止するものとされています。

休職には様々な種類があります。例えば、労働組合の活動に専念する場合の「専従休職」や、他の企業への出向に伴う「出向休職」、そして従業員の不調を原因とする「私傷病休職」です。

本記事では、この中でも数が多いとされる「メンタルヘルス疾患による」休職を前提にしています。なお、私傷病による休職の場合は業務上の傷病とは異なり、法的な雇用保障はありません。

傷病手当金の給付については健康保険法に定められていますが、「どのような条件で休職が可能なのか」「復職するためにはどうすれば良いのか」といった各種のルールについて、適切に説明することが大切になります。

また、休職を希望する従業員と事前に話し合っておくべき主なポイントは以下のものが考えられます。

休職希望者と事前に確認しておきたいポイント

休職理由

休職手続きの方法

休職期間(保障期間や最長期間)

休職中の給与や手当

休職中の保険料等

傷病手当金の給付手続き

会社との連絡方法(連絡手段、内容、頻度、連絡先、会社側の担当者)

主治医による診察および治療の報告義務

休職時の制限事項と禁止事項

休職中のリワーク・プログラム(会社の支援範囲)

復職の条件と復職までのフロー

再度休職する場合の休職日数の計算方法

復職前に休職期間が満了した場合の対応

上記の主なポイントを先に押さえておくことは、休職者に安心感を与えます。また、会社としても休職者対応を後手に回すことなく行うことができるでしょう。

このように、休職者が無理なく会社に復職できる環境づくりは、休職と同時にスタートしているということを念頭に置いて、一つひとつ対応することがおすすめです。

特にメンタル疾患の場合は、以下で紹介するの3点について企業がイニシアチブを取ることで、トラブルを未然に防ぐ確率が上げられるでしょう。

1.  会社と休職者の連絡について

まずは、休職中における会社と従業員の連絡方法についてです。休職期間の期限が近づくについて、休職者としても焦って復職を希望する場合があります。

しかし、休職者本人から「もう復職できます」と申し出がっても、休職中の適切なコミュニケーションが不足していると、実際に復職可能かどうかすぐに判断することは難しいでしょう。

そこで、休職者の状態を定期的に確認するフローや連絡方法をあらかじめ設定しておくことが重要です。その方法ですが、まずはメールのやり取りから始めて、最後は対面に変えるなど、連絡手段に段階を設けることで復職までの道筋がつきやすくなります。

2. 休職時の制限事項・禁止事項

続いて、休職期間中の制限についてです。これは、休職期間の過ごし方と言い換えることもできるものです。

メンタルヘルス不調による休職の場合、業務で感じていたストレスが軽減されることで回復し、それまでと同じように日常生活を送れるようになるケースは珍しくありません。

また、体調がよくなることで、休職期間中に旅行をする、さらにはその写真をSNSに公開したり…といったことが起こることも考えられますが、詳細を知らない他の社員がそういった情報を目にした場合、どんな気持ちになるでしょうか。

こういったことがきっかけで職場の雰囲気が悪化してしまうことや、新たな不調者が出る可能性もあります。休職中に避けて欲しい事項があれば、その理由とともに事前に伝えておきましょう。

3. 復職の条件と復職までの流れ

最後に、復職までの流れについてです。休職者から「復職したい」という意志表示があり、主治医が復職可能と判断した場合でも、職場環境によっては再休職のループに陥ってしまうことがあります。

そこで重要になるのが、職場環境や休職者の職務を把握している産業医の意見です。

しかし、休職者の「復職したい」という意向が強くとも、産業医が「復職は時期尚早」と判断したような場合には、トラブルに発展する可能性が高まります。

企業や人事担当者としては、訴訟などのリスク回避のためにも、事前に「誰が、何を基準に、復職可能と判断するのか」「復職までにどのようなフローがあるのか」「会社として、復職時にどのようなサポートが可能なのか」を明確にしておく必要があります。

休職から復職までの一連の流れを確認するには、厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」に目を通しておくと良いでしょう。

「休職者のゴールは、退職ではなく復職である」と人事担当者が目標を明確に定めることが、復職への第一歩。休職期間への入り方によって、復職率が変わると言われています。

メンタルヘルス不調は珍しいものではない

メンタルヘルス不調やそれに伴う精神疾患は、決して特殊な病気ではありません。とくにうつ病は「心の風邪」と言われるほど、誰しもがかかる可能性があるといわれています。

また、仕事熱心で几帳面なタイプなど、むしろ優秀な人材が我慢に我慢を重ねた結果うつ病を発症することも珍しくありません。

よって、メンタルヘルス不調による休職者が出たとしても、大きな不安を抱え込む必要はなく、ここで大切になることは、復職を見据えた休職対応をしっかりと行うことです。

そして、さらなるメンタルヘルス不調者を出さないように、不調者が休職に至った原因に向き合い、出来る限り根本的な対処を行うことが大切になります。

また、社内の環境についても顧みることで、「従業員の仕事量はどうか」「人事評価は適切であるか」「部署の人間関係に問題はどうか」等々、人事担当者として次なるトラブルを防ぐために確認しておきましょう。