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医師採用のプロフェッショナル集団として、より良い医療の未来を、人材採用の効率化で実現する。株式会社Rakusaiの挑戦

株式会社MHAは、2023年1月より、社名を「株式会社Rakusai」に変更し、医師採用支援サービス『Rakusai JOB DATA』、『Rakusai RPO』のリニューアルをおこないました。
代表取締役の青木さんに、今回の社名変更・サービスリニューアルの狙い・背景について伺いました。

株式会社Rakusai 代表取締役 青木さん
マスターピース・グループ、エス・エム・エス、エムスリーキャリアを経て、2015年 株式会社MHA 創業。2022年10月 エムステージグループに参画し、2023年1月 株式会社Rakusaiへ社名変更を行う。「より良い医療の未来を、人材採用の効率化で実現する。」ため、医療機関向け採用支援、医療人材紹介会社向けマッチング支援を提供している。

――まずは青木さんのこれまでのご経歴についてお聞きできますでしょうか

自己紹介をしますと、私は三重県の出身で、いわゆる松坂世代といわれる年代です。
もともとは医師になりたいと思い、医学部を目指していたことが医療業界に携わるようになったきっかけでした。
残念ながら医学部の壁は高く、医師の道はあきらめることになったのですが。

――医師を目指されていたのですね!

医師を目指していたのは、単純にかっこいいな。と思っていたからです。
自らの手で人の命を救うことができる。目に見えて、多くの人の役に立つことが出来る職業です。怪我や病気で苦しむご本人だけでなく、そのご家族の幸せも守り、また地域に暮らす人の健康をサポートすることで地域貢献にもつながる仕事です。
ですから、医師という立場ではなくても、やはり多くの人を救うことができる医療に携わる仕事をしたいなという思いがずっとありましたね。

――新卒の時には、どんな理由で入社企業を選ばれたのでしょうか

新卒では、医学部受験で浪人をして社会人のスタートが遅れていたこともあり、圧倒的なスピード感で成長するために、まずは主体的に多くの経験が積めるベンチャー企業で働こうと考えました。さまざまなアウトソーシングを請け負う企業で、コールセンターSVやデータ入力、通販の受発注の裏方から求人広告営業まで、とにかくあらゆる業務を幅広く経験することが出来ました。

その後、エス・エム・エスで看護師の人材紹介に携わり、半年後にエス・エム・エスとエムスリーでエムスリーキャリアを設立した際に、立ち上げメンバーとして加わりました。医師の人材紹介のプレイヤーから関東の責任者、人材紹介だけでなく医療コンサルティングチームを編成し、医療機関の医師採用コンサルティングも担うようになりました。

――採用を中心に広く医療機関の課題解決に携わってこられたのですね

そうですね。医療課題を解決したい、医療の未来をよくしたいと取り組んできましたが、反面、医療業界に長く携わるほど、業界の現状に落胆することもありました。自分が身を置いているスピードの速いビジネス環境に比べると、医療業界ではDX化や担う人材のスキル向上が遅れており、そのために経営状態が混乱している医療機関を目にする機会が少なくなかったからです。

特に課題感を感じていたのは採用課題で、その中でも医師採用の課題がもっとも大きなものでした。医療機関では医師がいないと患者を救えませんし、収益も生まれません。医師が一人いることで、年間1億円、2億円の収益が生まれると言われています。
ですが、医師採用が医療機関の根幹を支える重要課題であるにも関わらず、医療機関に人事や広報がいないことは珍しくありません。事務長が何でも担っていて、忙殺されているがゆえに、採用がおざなりになってしまっている医療機関が非常に多いという課題がありました。

――その思いの中で創業されたのがMHAなのですね

はい。2010年、医療機関の求人を複数の紹介会社に一斉に共有できることで、採用の効率化と質の向上を目指すプラットフォーム『楽採(現・Rakusai JOB DATA)』の事業アイディアをビジネスコンテストで発表したことから、株式会社MHAの起業へとつながっていきました。

――社名のMHAにはどのような意味合いがあったのでしょうか

アメリカには、MHA(マスター・オブ・ヘルスケア・アドミニストレーション)という称号があります。MBA(マスター・オブ・ビジネス・アドミニストレーション)などのように、医療経営に特化したMHAという称号があるのです。

アメリカではMHAホルダーが経営を担い、医師は現場の医療を担います。そうして経営と医療を完全に分離し、お互いの専門性を発揮できる環境が整えられています。日本においてもこうした環境を実現していくことが持続可能な医療につながるという考えと、私たちが医師採用のプロフェッショナルとしてその役割を担っていくのだ、という思いを込めていました。

今回の社名変更では、これまで長く親しまれてきた「楽採」を「Rakusai」のローマ字表記に変更することで、ブランドに多義性を確保し、多様な商品・サービスを展開していく予定です。私たちが提供する価値をわかりやすく、かつ強力に発信していきます。

――Rakusai社の2つの事業、『Rakusai JOB DATA』とRakusai RPO』のサービスが生まれた背景を教えてください

『Rakusai JOB DATA』の前身となる『楽採』は医師の採用を目的とした求人プラットフォームで、これまで延べ約3,000の医療機関、200を超える人材紹介企業に利用いただいています。
このプラットフォームに医療機関が求人を掲載すると、ほぼ全ての医師人材紹介企業と言える約200社・900名のエージェントが求人を閲覧することができます。

サービスが生まれた背景としては、医療機関の医師採用経路の変化がありました。
医師の主な採用手法は、医局派遣や知人紹介、そして民間の人材紹介サービスの利用などです。ですが、2004年から始まった新臨床研修制度により、医局においても医師を確保できなくなっていき、医局派遣に頼れなくなる医療機関が増加していました。知人の紹介も、医師不足の中で採用経路としては脆弱です。そうした背景の中で、人材紹介サービスの利用が医師採用の大きな柱となっていったのです。

その人材紹介会社の利用にも課題がありました。
医師の人材紹介会社は全国に200社ほどあると言われていますが、ひとつの医療機関が取引をしているのは10社程度です。残りの190社については知らないし、お付き合いもありません。ですが、それだと医療機関が、大きな採用経路である人材紹介を最大限活用することが出来ていないことになります。
だからこそ全ての紹介会社に向けて、医療機関が求人をアピールすることができるプラットフォームをつくることができれば、効率的に、医療機関の採用機会を最大化することができると考えたのです。

――確かに、ただでさえ多忙な事務長が採用を強化しようと思っても、リソースは限られています。ひとつのプラットフォームで効率的に、人材紹介を通した採用機会の最大化ができるのは画期的ですね

今後の『Rakusai JOB DATA』のリニューアルでは、さらに医療機関の採用に貢献できるサービスとしての再設計を予定しています。
またこの効率的・効果的な求人共有のしくみは、医師採用に関わる業務の一部ですが、全ての採用業務を委託できるアウトソーシングサービス『Rakusai RPO』も提供しています。
たとえば、求人を効率的に人材紹介会社に提供した後、求人を見た紹介会社からの候補者紹介対応なども、医師採用に長年携わってきた経験豊富な当社のメンバーが即戦力として全てサポートするものです。

私たちが提供するサービスのコンセプトは、創業時の思いと同じで「得意な人が得意なことをする」ということです。
医療を担う医師ですが、自身のクリニックを開業すると経営に関するあらゆることを、全て担う必要が出てきます。事務長がいる医療機関においても、先ほどお伝えしたように少ないリソースで経営に関する多くの業務を担っています。
私たちは採用のプロフェッショナルですから、採用に関しては私たちに任せてほしいと考えています。私たちが介在することで、医師は医療に、経営層は自分たちが取り組むべき経営課題に集中することができるのです。

――2022年10月、エムステージグループに参画された経緯を教えてください

昨今、医師の働き方改革やDXの急速な普及は、人材市場にも大きな変化をもたらしています。医師の転職手段もますます多様化しており、医療機関が優秀な人材を確保するには、従来型の応募を「待つ」採用活動では不十分であり、多様な手段でアプローチをしていく「攻める」採用活動が求められています。
民間企業では、今や採用はダイレクトリクルーティングをはじめ、さまざまな手法による採用活動が行われています。医療業界においても、これからは人材紹介だけではなく、手法にこだわらず、より良い採用を生むための取り組みが必要になるでしょう。

コロナ禍においては、医療経営に対する舵取りも厳しさを増しています。個々の職員が多くの業務を掛け持ち、ただでさえ多忙なことが多い医療機関では、採用活動の効率化がより一層求められています。

こうした大きな社会変化の中で、提供価値の最大化を実現するにあたり、エムステージグループの各事業と連携することが大きなシナジーを生むと考えたからです。

――より医療機関への支援を深化させるべきフェーズにあるのですね

エムステージグループは医師会員数3.4万人を抱え、1.5万施設以上の医療機関へ人材支援・経営支援を行う業界でも存在感のある企業です。医療経営支援や産業保健支援など、人材紹介にとどまらず、医療を持続させていくために必要な支援にチャレンジし続けています。さらに全国に支社を展開するエムステージのネットワークがあれば、これまでサービスの意義を伝えられていなかった地域にも私たちのサービスを広げていくことができます。

当社は今年で創業9期目を迎えますが、6,7年程前から、エムステージのグループCEOからは、「一緒にやろう」というお話を頂いていました。

エムステージグループが掲げる「すべては、持続可能な医療の未来のために」のビジョンは、当社の考えととても近いものです。エムステージのサービスにおいても、このサービスで代表がどんな未来を実現したいと考えているのか、理解できるものが多く、こうした考えが近いTOPと共に事業を加速させていきたいと考えました。

――具体的にはどのようなシナジーがあるのでしょうか

以前、業界最大手の企業に在籍していた時に、より良いマッチングを多く生み出すためには何が大切なのかを考えたことがあります。登録医師数の多さなどもそのひとつですが、何より求人の量を担保することが非常に大きいと感じていました。
業界最大規模の求人量であるエムステージの求人を『Rakusai JOB DATA』と連携することで、全ての人材紹介会社は紹介市場に出ている求人のほとんどを把握することができます。

また、もちろん求人内容の質もとても大切です。
実はもともと、私がエージェント時代にエムステージの求人はよく参考にしていました。多くの同業界の人が認識していることだと思いますが、エムステージの求人の質は非常に高いものです。連携することでこうした質の高い求人が掲載できることも、多くのより良いマッチングを実現していくためにとても重要な要素になります。

――自分たちの持つ情報を、業界のステークホルダー全員で共有することで、ひとつでも多くのより良いマッチングを生むことを目指しているのですね

はい、そうです。
これにより、医療機関の課題だけでなく、紹介会社側の課題解決にも寄与することができます。

たとえば多くの求人やエージェントを抱える大手の紹介会社では、求人クリーニングのコストやエージェントの教育コスト、エージェントの質をいかに一定に保つかといった課題があります。中小の紹介会社では、マンパワー不足により求人開拓ができないため、医師にマッチした求人を探すのではなく自分の得意な医療機関に強引にマッチさせにいくという状況が生まれていました。
ですが、『Rakusai JOB DATA』で全ての紹介会社に求人を公開すると、各社の持つ求人量は横一線になります。求人量が横一線になれば、業界の大手企業や中小企業といった強み弱みがなくなり、エージェントのスキルのみで勝負をすることになります。
人材紹介企業の中でも、競合企業と差をつける努力ができるエージェントなのかどうかで差が出てきますし、企業としての信頼度も変わってきます。
そうして、エージェントの質が上がり、業界全体の質の向上につながることで、医療機関により良い採用を提供することができるようになるのです。

一つでも多くのベストマッチを増やすこと。そして、ミスマッチを防ぐこと。

私たちが直接、採用を決めなくてもいいのです。手法にこだわるのでもなく、医療機関の採用そのものを支援したい。私たちが介在することで、医師採用市場の活性化に貢献し、日本の医療に貢献していきたいと考えています。

――まさにグループ一体となって、医療の未来に向けた取り組みを加速させていくのですね

1月の社名変更に合わせて、本社もエムステージ社と同じ品川区大崎ThinkPark Towerに移転しました。エムステージグループとのコミュニケーションをこれまで以上に円滑にし、「より良い医療の未来を、人材採用の効率化で実現する。」ための取り組みを加速させることで、誰もが最適な医療を受けられる未来の実現に取り組んでまいります。

株式会社Rakusai